10月2日のMicrosoftのイベントでは、Surface Pro 6やSurface Laptop 2のほかに、Surface Studio 2も発表されました。
めちゃくちゃカッコいい可動ディスプレイ機構はそのままに、パフォーマンスを向上させて登場したSurface Studio 2は検討に値するのでしょうか?
iMacとの比較など。
Surface Studio 2の主な仕様をSurface Studioと比較してみる
Surface Studio 2は昨年日本でも発売されたSurface Studioの後継機で、その特徴的な可動ディスプレイ機構や、タッチ操作とペン入力のサポートを継承しています。
Surface Studioは本国での発売からかなり遅れて日本に上陸したため、登場時からスペック面ではやや古めかしい印象でしたが、今回は本国とそれほど時差のない来年1月にリリースされるとあって、その売れ行きにも期待が高まるところです。
主な仕様は次のとおり。
項目 | Surface Studio 2(2018) | Surface Studio(2016) |
---|---|---|
OS | Windows 10 Pro | Windows 10 Pro |
CPU | 第7世代 Intel Core i7-7820HQ | 第6世代 Intel Core i7-6820HQ 第6世代 Intel Core i5-6440HQ |
GPU | NVIDIA GeForce GTX 1070 8GB NVIDIA GTX 1060 6GB |
NVIDIA GeForce GTX 980M 4GB NVIDIA GeForce GTX 965M 2GB |
RAM | 32GB / 16GB | 32GB / 16GB / 8GB |
ストレージ | 2TB SSD / 1TB SSD | 2TB HDD + 128GB SSD 1TB HDD + 256GB SSD 1TB HDD + 128GB SSD |
ディスプレイ | 28インチ 4500 x 3200ピクセル ペン入力・タッチ操作対応 |
28インチ 4500 x 3000ピクセル ペン入力・タッチ操作対応 |
カメラ | イン:5Mピクセル/1080p HDカメラ Windows Hello 顔認証カメラ |
イン:5Mピクセル/1080p HDカメラ Windows Hello 顔認証カメラ |
インターフェース | USB 3.0 Type-A x 4、SDXCカード、USB Type-C Gigabit Ethernet、3.5mmステレオヘッドセット |
USB 3.0 Type-A x 4、SDXCカード、Mini DisplayPort Gigabit Ethernet、3.5mmステレオヘッドセット |
価格 | 3,499ドル〜4,799ドル(米国) | 41万5,584円〜57万2,184円(日本、税込) |
大きな変化は、CPUがまずまず新しくなったことと、GPUが大幅にレベルアップしたことです。
また、スペック表では表現しきれていませんが、ディスプレイは輝度やコントラストが向上していますし、ペン入力は2017年にリリースされた新しいSurfaceペンに対応して、4,096段階の筆圧検知とペンの傾き検知をサポートしています。
Surface Studio 2の良いところ・そうでもないところ
では、Surface Studio 2の良いところはどうでしょうか?
文句なしにカッコいい(とくにヒンジの動きが)
まず、これをデスクに置いておくととてもサマになります。
指一本で通常のデスクトップスタイルから水平に近い製図板スタイルへ移行でき、ディスプレイを寝かせた状態ではちょうど手書きで使いやすい手前の位置にディスプレイが近寄ってくれるというナイスな機構。
今は家電量販店などで(現行のSurface Studioに)触れられるので、このヒンジの動きを実際に見てみてください。他社でこれに匹敵するものは今のところ出てきていないと思います。
最高品質のディスプレイ
Surface Studio(2じゃない方)のディスプレイですら、間近で見ると美しすぎて驚くほどですが、今回のSurface Studio 2ではそれにさらに磨きがかかりました。
Microsoftの発表によると、Surface Studioのディスプレイと比較して、明るさが38%、コントラストが22%も向上しているんだそうです。
タッチ操作とペン入力に対応するため、ディスプレイの表面はガラス製で非常に平滑。グレアタイプで発色も良好です。
解像度は4500 x 3200。縦方向にも十分なサイズがあるので、書類仕事もとても快適に行えるはずです。
このディスプレイ(と前出のヒンジ)だけで、3,000ドル分くらいの価値があるんじゃないでしょうか。他のPCから外部ディスプレイとして使えないのが残念でならないほどです。
ペン入力との親和性の高さ
Surfaceといえばペン入力ですが、Surface Studio 2では2017年のSurface Pro相当の性能(4,096段階の筆圧検知とペンの傾き検知に対応)を実現してくれました。このサイズのディスプレイでです。
記事冒頭の動画でWord文書をペンを使って校正する様子が紹介されているとおり、絵を描くようなときだけでなく、オフィスワークでもペンを積極的に使っていこうというのがここ数年Microsoftが目指しているところのようです。Officeのペン入力対応もどんどん進んでいますしね。
Surface Studio 2のもうちょっと頑張ってほしかったところ
一方、気になるところもなくはありません。
なぜ第7世代プロセッサーなのか?
Surface Studio 2に採用されたCPUは、最新の第8世代Intel Coreシリーズではなく、第7世代の、しかもデスクトップ用ではなくハイパフォーマンス・ラップトップ向けのCore i7-7820HQ。
まあ、CPUなどが入っている本体部分は非常にコンパクトなので、あまり発熱の多いCPUは載せられなかったということなのかもしれません。
最近どこかで読んだ記事によると、MicrosoftはSurface Pro 4とSurface Bookのときに、当時出たばかりのプロセッサーを採用したおかげで、品質が安定せずに大変な苦労をしたので、それに懲りて実績のあるプロセッサーを選ぶようになったという話。
たしかにSurface Pro 4ではスリープ中のバッテリーの減りが早いなどのトラブルがずっと尾を引いていたような気がします。Consumer Report誌のオススメを取り消されるという騒ぎもあったような…。
で、このCore i7-7820HQの実力ですが、直接の競合になりそうな現行のiMac(Proじゃない方)のCore i7モデル(Core i7-7700)と比べると、Geekbenchのスコアで約1.5割引くらいの値になっています。
Surface Studio 2の国内価格はまだわかりませんが、似たようなスペックのiMac(=CPUをi7、RAMを16GB、ストレージを1TB SSDに変更したもの)と似たような価格帯で出てくるのなら、タッチ操作とペン入力に対応している分で、パフォーマンスの差は相殺できるかな、という感じでしょうか。
Thunderbolt 3がない
Surface Studio 2にはUSB Type-Cのポートが一つありますが、Thunderbolt 3のポートはありません。
Surface Studio 2のような機種になると、高速な外部ストレージを増設したいとか、eGPUを接続したいといったニーズもありそうなのですが、残念ながらThunderbolt 3なしでまた1年戦うことになるわけです。
先に書いたような事情で安全サイドに寄りすぎているのか、それとも単に技術的な問題をクリアーできないせいなのか、理由はよくわかりませんが、インターフェース面ではちょっと残念な仕様ということになりそうです。
ついでに言うと、Surface Studioシリーズの接続ポートはすべて本体の背面に集中しています。
こんな場所にあるカードスロットって相当使いづらそう。
ディスプレイと干渉せず見た目も損なわない位置はそこしかないのかもしれませんが、せめてカードスロットくらいはサイドに持ってきてもよかったんじゃないかと思ったりもします。
価格と使い道しだい
というわけで、Surface Studio 2についてでした。
個人的な印象では、最も安いCore i7/16GB/1TBのモデルが40万円を切ってくれば、iMacのお客を奪って、そこそこ売れるモデルになるんじゃないかと思ったりします。
そういうわけですので、来年1月に向けてどんな価格設定がされるのか注目したいと思います。
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