ここ3年ほど、ノートアプリはMicrosoft OneNoteを使ってきました。
当初はデスクトップ版のOneNote 2013を、その後はOneNote 2016に移行して、Windows 10がリリースされてからはストア版のOneNoteを使っていましたが、久しぶりにEvernoteに戻ってみて思うことがありました。
OneNoteの魅力と限界
OneNoteはMicrosoftがリリースしている無料のノートアプリで、Windowsだけでなく、Mac、iOS(iPhoneでもiPadでも)、Androidで利用できます。
ノートのデータは(基本的には)MicrosoftのクラウドストレージサービスであるOneDrive上に保存されるため、本当に無料で使えるのはノートの容量が5GBを超えるまで(OneNoteは5GBまでなら無料)なのですが、普通の使い方で5GBものノートを書き溜めるのは至難の技で、つまり実質無料と言っていいようなサービスです。
OneNoteの魅力は大きく二つあります。
ひとつはWindows 10ユーザーならほぼ誰でも、ほとんど手間なく導入できること。
OneNoteの利用にはMicrosoftアカウントが必要ですが、ほとんどのWindows 10ユーザーはMicrosoftアカウントを持っているはずなので、新たにアカウントを作る手間がありません。
また、Windows 10にはあらかじめストア版のOneNoteアプリがインストールされていて、アプリをインストールする手間すら不要です。
自発的に何かのアプリを使おうという場合、これらの手間は大した問題にはなりませんが、OneNoteで作ったノートなどを他のユーザーと共有したい場合には、相手にほとんど手間を強いない環境はとてもありがたいです。
もうひとつはペン入力との親和性が他のノートアプリと比べ物にならないほど高いこと。
OneNoteではノート上のどこにでもペン入力のオブジェクトを配置できます。たとえば、キーボードで入力した文字に重ねるようにペンでマーカーを引いたり、矢印を引っ張ってコメントを手書きしたりできます。
EvernoteやApple純正のメモアプリでは、キーボードで入力したテキストとペン入力のオブジェクトを重ねて配置することができないので、文字は文字、手書きは手書きと、行を分けて入力しなければなりません。これではせっかくのペン入力も魅力半減です。
こうした魅力ゆえ、仕事上で他のメンバーとノートを共有したい場合や、ペン入力を活用したい場合には、OneNoteが使いやすいということになります。
一方、OneNoteのイケてない部分もあって、それが今回のテーマです。
OneNoteのイケてないところ
Mac / iOSとの相性の問題
MacやiOSでOneNoteを使いはじめてすぐに気づく問題として、画面上のテキストの表示が乱れる(レイアウトの自動調整のような動作の影響で、入力している行の付近が見えなくなる)というものがあります。
カーソル位置に何が書かれているかわからなくなるのでそのままでは作業を続けられず、いったん周囲のテキストを選択し、フォントサイズを変更して、また戻すような手順で回復させる必要があります。
この現象はMacとiOSの両方で発生するので、AppleのAPIとOneNote実装の相性のようなものだろうと推測していますが、とにかく使いづらい。
行間が不安定な問題
OneNoteには以前から指摘されているのに一向に改善されない問題があります。
それは、行をまたぐような長いセンテンスを書くとき、ある行に半角英数文字を含めると、その次の行との間隔が狭くなり、さらに次の次の行との間隔はもっと狭くなるという問題。
機能的には支障はないのですが、見た目が致命的に気持ち悪いです。
Evernoteへの回帰
このOneNoteの問題は、前者は実際の作業効率に影響し、後者は気になり始めるとひたすら許せなさが募る上に、ユーザーサイドでは改善の手立てがありません。
そんなわけで、自分だけで書く、手書きなしで完結するドキュメントには、Evernoteを使うことにしました。このブログの原稿もEvernoteで書くことになるでしょう。
EvernoteはOneNoteとは違い実質的に有料のサービスですが、毎日使う道具と考えればさほど高いものでもありません。
律儀にEvernoteのサイトから定価で払っても月額600円、ソースネクストに在庫があれば3年で約1万5,000円(月額換算で約420円)です。
ちゃんと使えば元は取れる金額でしょう。
Evernoteは本当にちゃんと儲かっているのか?今後も末永くサービスを続けてくれるのか?といったところに一抹の不安がないわけではないのですが、ひとまず現時点での使い勝手を重視してしばらく使い続けたいと思います。
最後に、この手のサービスを渡り歩いてきた実感として、どれか一つのサービスに安住できるとは考えない方がいいと思います。
サービスの使い勝手はアプリの実装ひとつで大きく変わりますので、それまで気に入って使っていたものが、ある日アプリがバージョンアップされたことで途端に使いづらくなることもあり得ます。逆もしかりで、イマイチだと思っていたサービスが、アプリのバージョンアップで見違えるほど使いやすくなることもあります。
用途とその時々のサービスの完成度に応じて、身軽に移動していくのが良いということだと思います。