夏の旅行で使うカメラとして発売直後のCanon G7X Mark3を買い、じっさいに旅行中の動画撮影に利用しましたが、どうしても不満なところがあります。
Sonyから何周か遅れてしまっているのではないしょうか?
Canon G7X Mark3の概要
Canon G7X Mark3は同社のコンパクトデジカメ「PowerShot」シリーズの最新モデルで、1インチの大型センサーと明るいズームレンズを搭載した、いわゆる高級コンデジのひとつです。
主な仕様は次のとおり。
項目 | 内容 |
---|---|
センサー | 1.0インチCMOS、有効2010万画素 |
焦点距離 | 24〜100mm(35mmフィルム換算) |
開放F値 | F1.8〜F2.8 |
ディスプレイ | 3.0インチ、タッチ操作対応、チルト対応 |
動画撮影 | 4K 29.97fpsまで対応 |
インターフェース | USB-C、HDMI、外部マイク入力 |
サイズ・重さ | 105 x 60.9 x 41.4mm、 304g(バッテリー・メモリーカード含む) |
その他 | 内蔵NDフィルターあり |
動画撮影用のカメラとして見た場合、クロップなしの4K撮影に対応したこと、外部マイク入力端子を追加したこと、NDフィルターを内蔵したことが大きなトピックです。
ソニーから発売予定のRX100M7との主な違いは次のようなところです。
- レンズの違い
G7XM3の24〜100mm/F1.8〜2.8に対して、RX100M7は24〜200m/F2.8〜4.5と、Canonが明るいけどズーム控えめなのに対して、Sonyは少し暗い代わりにズームが伸びている。 -
オートフォーカス機能
G7XM3のコントラストAFに対して、RX100M7は位相差AFとコントラストAFのハイブリッド方式で瞳検出AFにも対応。 -
内蔵NDフィルターの有無
G7XM3にはオートNDフィルターを内蔵しており、明るいシーンでも絞りを開いたり、シャッタースピードを遅くすることが可能。 -
光学ファインダーの有無
G7XM3には光学ファインダーがありませんが、RX100M7にはポップアップ式のものが内蔵されています。(CanonからはG5X Mark2という光学ファインダー内蔵モデルが同時に発売されています) -
価格
G7XM3の11万6,100円に対して、RX100M7は15万6,600円。(いずれも公式オンラインストア価格)
G7X Mark3の気に入らないところ
それで、私は8月前半の旅行用として新たなコンデジを探していたので、8月末に発売されるRX100M7は残念ながら対象外。ほぼ自動的にG7X Mark3を選ぶことになりました。
実売で約4万円もの価格差があったことも大きいです。
4万円もあればかなり豪勢なアクセサリーを揃えられます。たとえばこういう汎用性の高いジンバルを買ってもいいですし…
ワイヤレスマイクも魅力的です。
予備のバッテリーも必ず必要になります。
そんなわけでG7X Mark3を持って旅行へ出かけたわけですが、たいへん気に入らない点がいくつか見つかりました。
オートフォーカスがどんくさい
なお、今回紹介する不満点はいずれも動画撮影時のものです。静止画ではまた違った印象になるかもしれません。
まず、G7X Mark3の動画撮影時のオートフォーカスはたいへんどんくさいです。
Canon大好きな日系アメリカ人YouTuberのPotato Jetことジーン・ナガタさんの動画でも触れられていますが、G7X Mark3のオートフォーカスは迷うし遅いです。(9分00秒あたりから)
顔認識のボックスが表示されていても、実際に顔にフォーカスするまでに長い時間が掛かるとか、いつまで待ってもフォーカスしないといった現象が起きています。
また、G7X Mark3のオートフォーカスはG7X Mark2のそれよりも遅いという実例も示されています。
これは私の経験でも全く同じで、撮影前にまずシャッターボタンを半押しして撮りたいものにフォーカスを合わせておかないと、クリップ丸ごとボケボケになったりします。
4K動画を撮影しているとすぐにオーバーヒートする
今回のモデルはGシリーズで初めて4K動画撮影に対応しているのですが、断続的に10分ほど4K動画を撮影していると、温度上昇の警告画面が表示されて、それ以上4Kでの撮影ができなくなります。
解像度をFullHDに落とせばすぐに撮影を再開できますが、これって本当に4K動画対応って言えるレベルの動作なのでしょうか?
バッテリー残量表示が謎
純正のバッテリーを使っている場合は画面にバッテリー残量が表示されます。
撮影していても残量表示がぜんぜん減らないので、「なんてバッテリー長持ちなんだ!」と感動していたのですが、ある時点から急激に残量表示が減り始め、その後あっという間に自動的に電源がオフになりました。
残量フルの表示を引っ張りすぎじゃないでしょうか?リニアに減ってくれないと「あとどれくらい撮れるのか?」の目安として使えないんですが。
それから、これはCanonばかりの問題ではないのかもしれませんが、サードパーティ製のバッテリーを装着すると警告画面が表示され、それでも使用するとバッテリーの残量表示がオフ(ずっとゼロ目盛り表示)になります。
他社製バッテリーでは正確な残量表示ができないといった理由があるのでしょうが、前述のとおりそもそも純正バッテリーを使ったときの表示だって当てにならないんだから、最初の警告画面だけ表示して、その他のサードパーティ排除仕様なんかやめてしまえばいいのにと思います。
RX100M7との4万円の価格差は妥当かもしれない
というわけで、動画撮影の道具としてはいまいち使い勝手の良くないG7X Mark3なのでした。
G7X Mark3ではSonyの古い世代のセンサー(RX100M4世代?)を使っていると言われていて、そうした制約の中でRX100シリーズに対抗できる製品にまとめ上げるために、開発者の皆様は大変なご苦労をされているのだと思います。
しかし、とくにオートフォーカスの性能についてはいちユーザーとして全く納得できないレベルで、2019年に発売された10万円もするコンデジとしてはお粗末と言わざるを得ません。
RX100M7との4万円の価格差にはちゃんと理由があるんだなと思いましたし、そんな金額は出せないというならズームは少し短いですがRX100M4を選ぶのもいいかもしれないと思いました。
以上、ご参考まで。