6月11日にLINE MUSICのサービスが始まりました。
5月にAWAがサービスインし、6月末にはApple Musicがやってくるかもと、にわかに群雄割拠感が出てきた日本の音楽配信業界ですが、LINE MUSICはどの程度戦えそうでしょうか。
LINE MUSICは150万曲でスタート。学割ありで月額300円から。
LINE MUSICの仕様と料金体系
LINEのプレスリリースによるとLINE MUSICの仕様は次のようになっています。
機能・仕様 | 内容 |
---|---|
楽曲数 | 当初150万曲。2015年末500万曲以上、2016年末3,000万曲以上を目標。 |
ビットレート | 320/192/64kbpsから選択可。ネットワーク環境に応じた自動設定機能あり。 |
利用形態 | Android/iPhoneの専用アプリ。2015年7月中を目処にブラウザ版を提供予定。 |
LINE「【LINE MUSIC】音楽×コミュニケーションの新たな体験を生む定額制オンデマンド型音楽配信サービス「LINE MUSIC」本日サービス公開」
http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2015/1015
また、料金はすこしややこしくて次の図のようになっています。
引用元: http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2015/1015
先行するAWAとの比較では、次の点に特徴があると言えるでしょう。
- ビットレートとして常時320kbpsを選択可
- 学割料金あり。プレミアムプランはLINE STORE払いなら80円安い。
- 2016年末の楽曲数の目標が大きい(AWAの1,000万曲に対してLINE MUSICは3,000万曲)
ぱっと見良さそうな感じですが、使用感はどうでしょうか。試してみます。
LINE MUSICの使用感
LINE MUSICはApp StoreまたはGoogle playから無料ダウンロードできる専用アプリで利用できます。既存のLINEアプリとは別アプリです。
トップ画面の構成と内容
トップ画面には上から順に、フィーチャーされているアーティストのバナー、ピックアップ曲、ピックアップ・プレイリスト、ニューリリース曲、おすすめプレイリスト、ピックアップ・アーティストが表示されます。
各カテゴリーに表示される内容は概ね10代から20代向けのアーティストや楽曲が多いように見えますが、ピックアップ・アーティストに美空ひばりが混ざっていたりすることもあってよくわかりません。
検索機能
検索にはトップ画面右上にある検索アイコンからアクセスできます。
サービス開始当日には検索結果が全く表示されず、2日目も頻繁に「ネットワークに接続できません。ネットワークの接続状態をご確認ください。」や「不明なエラーが発生しました。サーバーを復旧中です。」のメッセージが出て安定しません。
検索結果には「ベストマッチ」「ソング」「アーティスト」「アルバム」が表示されます。
それ以上はまともに確認できませんでした。こらっ。
メインメニュー
トップ画面の左上のメニューアイコンをタップするとメインメニューが開きます。
メニューには「トップ」「テーマ&ジャンル」「トピック」「シェア」「マイミュージック」「チケット管理」「設定」の各項目が表示されます。
「テーマ&ジャンル」をタップするとテーマやジャンルが一覧表示され、さらにタップすると対応するプレイリストの一覧が表示されます。
「トピック」をタップするとシーンの一覧が表示され、さらにタップするとシーンに応じたプレイリストの一覧が表示されます。
「シェア」をタップするとLINEの友達とグループの一覧が表示され、過去にその友達やグループとシェアした曲などが表示されます。
「マイミュージック」は自分が作成したプレイリストやお気に入りとして登録した楽曲・アルバム・アーティストの一覧が表示されます。
「チケット管理」はサブスクリプションの状況を表示します。
現在は無料トライアル中のためこのような表示です。30日単位で表示されるようです。
「設定」は各種設定を行う画面へのリンクです。
設定画面
設定画面では「ログイン情報」「学生認証」「プッシュ通知」「LINEの友達を招待」「プレイヤー設定」「再生終了タイマー」の各項目を設定できます。
ここでは「プレイヤー設定」の中身を見ていきます。
プレイヤー設定では次の各項目を設定できます。
- モバイルデータ回線時にもストリーミング再生を許可
Wi-Fi以外でもストリーミング再生するかの設定です。
通信容量対策です。 -
音質設定
「ネット環境に応じた自動設定」「音質-高」「音質-中」「音質-低」から選択。
「ネット環境に応じた自動設定」は好意的に解釈すると「Wi-Fiなら高音質、それ以外ならそこそこの音質で再生」になると思いますが、意地悪な見方をすれば「サーバー側の回線がキツくなったときはビットレート下げる」という使い方もできそうな表現です。 -
キャッシュ機能
楽曲をスマホにダウンロードしておくかの設定。
キャッシュをWi-Fi接続時だけに行うかそれ以外でも行うかの設定と、キャッシュ情報の削除もここで行います。
接続形態によってキャッシュの可否を切り替えられるということは、お気に入りに追加しておけば再生しなくてもキャッシュされるということなのかと思って試してみましたが、何度か試した範囲では再生していないものはキャッシュされない模様です。
キャッシュした楽曲について前出のプレスリリースでは「料金プランの確認のための通信が必要なため、オフライン環境での再生はできません。」としていますが、アプリを起動したままiPhoneをフライトモードにして回線を切った状態でマイリストの曲は再生できました。料金プランの確認は常時行っているわけでは無いようです。
使用感は「ちょっと不親切」
まず検索機能がまともに動かないのはツライです。
特定のアーティストや曲にたどり着くためには検索機能を使うしか方法がないのですが、頻繁にエラーになって使い物になりません。
曲の再生や他のアプリでの通信が正常に行えている状態でもエラーになるので、回線の問題ではなくサーバー側の問題だろうと思います。
テーマやジャンル、トピックを選択してプレイリストを探し、そこからアーティストの他の曲やアルバムを閲覧・再生している状態からトップ画面へ戻ろうとすると、戻るボタンを連打するしか方法がなくてとても面倒です。
メニューアイコンは常に画面上に表示しておくのが良いと思います。
シェア機能はLINEのトーク、タイムラインの他、TwitterとFacebookにもシェアできます。
LINEにシェアする場合、コメントなどは付けられないようで、ただ曲のカバーアート・タイトル・アーティスト名と再生ボタンがトーク画面に表示されます。コメントは別途LINEアプリを起動して入力する必要があります。
LINEにシェアした楽曲はLINEアプリ(LINE MUSICアプリではなく)上でダイレクトに再生することができます。この点は便利です。
アーティストや楽曲を起点として関連曲を連続再生するラジオ的な機能は無いようで、主体性を持ってアルバムなりプレイリストなりを選択する必要があります。
感想 ~学割など意欲的な価格設定は○。アプリの機能と操作性はもう一息。
LINE MUSICはトップ画面に並んだアーティストやプレイリストの傾向、学割価格の設定などから、10代から20代の比較的若い世代をメインターゲットにしたサービスのように見えます。
LINEアカウントがあれば面倒な登録手続きなしで利用できるとか、LINEにシェアした曲をLINEアプリ上で直接再生できるなど、既存のLINEユーザーやサービスとの親和性が高くて、ターゲットとなる世代向けに間口を広く取っている点は評価できます。
一方、アプリの機能や操作性の面では先行するAWAにやや及ばない部分が見られます。
LINE MUSICもAWAも現在無料期間中で、ユーザーは両方のサービスを直接比較できてしまうので、このタイミングであまり悪い印象を残さないことが大切だと思います。もし検索機能に何か問題があるのなら、なるべく早く、せめて無料期間中に解消された方が良かろうと思います。
AWA、LINE MUSIC、そしてApple Musicと、この5月・6月は楽しいイベントが続きますが、どれか一つが勝ち残るのではなくて、それぞれ特色を出して並び立つような状況になれば良いんではないかと思いますので、各社頑張っていただきたい。そう願っております。