iPad Pro 11インチモデル(2018)にiPadOSのパブリックベータ版をインストールして使っています。
外部ストレージに対応したiPadOSなら、これまでiOS機器への取り込みに難儀していたXAVC S形式の動画ファイルも簡単に取り込めるのではないか?
試してみました。
iPadOSならXAVC S形式の動画ファイルをカードリーダー経由で取り込める
従来のiOSの問題点
従来、iOS機器にデジカメ等で撮影した写真や動画を取り込もうとする場合、次の3つの方法がありました。
- カードリーダーに撮影済みのカードをセットし、「写真」アプリで取り込む
LightningやUSB-Cに対応したカードリーダーにメモリーカードをセットしてiOS機器に接続すると、iOS標準の「写真」アプリが自動的に立ち上がり、取り込むファイルを選択すると、フォトライブラリーに写真と動画が追加される、という仕組み。
ただし、この方法ではXAVC S形式の動画ファイルの取り込みはできませんでした。
ほかにも、DJI Osmo Pocketの4K60pの動画も取り込めなかったはず。 -
カメラを直接接続して、「写真」アプリで取り込む
カメラがMTPプロトコル(Media Transport Protocol)をサポートしている場合、そのように設定してiOS機器にケーブル接続することで、「写真」アプリ経由で取り込み可能でした。
ただし、この方法によるデータ転送はたいへん遅いので、大量の写真や動画を取り込むには長い時間が掛かり、必ずしも実用的ではありませんでした。 -
カメラメーカーのアプリで取り込む
Wi-FiやBluetoothでiOS機器と接続できるカメラの場合、メーカーの独自アプリを使ってカメラ内の写真・動画を取り込むことができました。
ただし、この方法も取り込みに時間が掛かるという問題がありました。
ソニーのXAVC S形式の動画の場合、MTP方式で取り込めなくはなかったのですが、4K動画をたくさん撮影した場合などは、取り込みに果てしない時間が掛かっていました。
今回確認したかったのは、この問題がiPadOSで解決できるのではないかということです。
テストに使った機器
今回のテストに使ったのは次のセットです。
- iPad Pro 11インチモデル(2018)(iPadOS 13.1 Public Betaをインストールしたもの)
ストレージ 1TBの最強モデル。4Kの動画編集も楽々こなします。 -
ソニー RX100M7で撮影したXAVC S形式の動画を格納したmicroSDカード
XAVC S 4Kの設定では24フレームで60Mbpsまたは100Mbpsで撮影可能です。
100Mbpsで撮影する場合はUHS-I スピードクラス3以上のメモリーカードが必要です。(RX100M7ではスペックが足りないと撮影ボタンを押せない仕様になっています) -
Sandisk Extreme Pro USB-C接続SDカードリーダー
USB-C接続の超高速カードリーダーです。
ちょっと高いですが、iPad Proや最近のMacBookシリーズのユーザーはこれ買っておけば間違いないと思います。
RX100M7での撮影時の設定は、記録方式を「XAVC S 4K」、記録設定を「24p 100M」としました。
RX100M7で撮影したXAVC Sファイルは、カードリーダー経由でiPadOSに取り込める
試した結果、RX100M7で撮影したXAVC Sファイルは、カードリーダー経由でiPadOSに取り込めることがわかりました。
手順はかんたん。
まず、カードリーダーにカードをセットしてiPad ProのUSB-Cポートに接続します。
すると、カードリーダーのLEDが点灯して、カードが認識されたことがわかります。
次に、iPad Proで「ファイル」アプリを起動すると、メモリーカードのボリュームラベルと同じ名前のドライブが確認できます。
このドライブの中を「PRIVATE」-「M4ROOT」-「CLIP」の順に辿っていくと、撮影済みの動画ファイルを確認できます。(上図の右側のペイン)
そして、ここで必要なファイルを選択してiPadのストレージにコピーすることができますし、「ビデオを保存」とすればフォトライブラリーに保存することも可能です。
iOS用のビデオ編集アプリはフォトライブラリーに入っているものなら素材として利用できますので、あとは編集し放題です。
iPadOSのパブリックベータ版では、この外部ストレージ機能が完全に安定したとは言い難い状況ですが、近々公開されるはずの正式版で安定して動作するようになれば、ソニーユーザーの強い味方になってくれるはずです。
旅行中に動画を撮影する場合など、メモリーカードだけでは素材を保存しきれないような場合に、iPadの内蔵ストレージを保存場所にしたり、さらに別の外部ストレージ機器(HDDやSSD)にコピーできるようになれば、容量を気にせずに撮りまくれるようになるわけで、たいへんありがたい進化ですね。
以上、iPadOSならXAVC S形式の動画ファイルをカードリーダー経由で取り込める、という話でした。