新しいMacBook Proのどのモデルを買うのか、ずっと考え続けています。同じように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
用途としては、家でも外でもオフィスでも使う普段使いの作業用PCであり、また、ときには動画編集などにも使いたいところ。
話題になっているハイエンドモデルの発熱問題なども考慮しつつ、ひとまずこういう構成で考えているという話です。
Macのカスタマイズモデルはコストパフォーマンスが不満という話
MacBook Proに限らず、AppleのPCを手に入れるとき、店頭ですぐに手に入る「吊るし」のモデルと、Appleストアでしか手に入らないカスタマイズモデルのどちらを選ぶかで頭を悩ませることになります。
たとえばMacBook Proなら、13インチの吊るしモデルはRAM容量が8GBに固定されていて、プロセッサーもCore i5しか選べません。これを16GBに増やしたり、Core i7にアップグレードしようとすると、自動的にAppleストアでしか買えないカスタマイズモデルに限定されてしまいます。
そして、Appleストアで購入するということは、すなわち定価でしか購入できないということです。
MacBook Proの場合、吊るしモデルの販売価格は発売から2か月ほどで約20%低下しますが、カスタマイズモデルの場合、その恩恵に浴することができません。
また、将来手放す場合にも、たくさんの個体が出回っていて安定した中古相場が形成されやすい吊るしモデルと違って、カスタマイズモデルのリセールバリューは安定しない傾向があるように感じます。
というわけで、カスタマイズモデルは自分の好みに近い構成を選べる反面、購入価格と将来の売却価格の両方で不利益を被る可能性があるわけです。
グライムスみたいにMacBook Proに平気でビックリマンシールを貼れるようになりたい。
13インチか、それとも15インチか? ~ eGPUの可能性
さて、今回手に入れようとしているMacBook Proは、普段はあちこち持ち歩いてオフィスワークをこなし、ときどきは動画編集のようなハードな作業にも使おうとするものです。
持ち運びには小さく軽い13インチが有利なことは言うまでもなく、処理能力は15インチモデルの方が優れています。
13インチモデルをパワーアップしようとすると、プロセッサーにしろRAMにしろ、カスタマイズを利用するほかなく、先に書いたとおりお値段の面で不利になります。
そこで今回は、macOS High Sierraで正式にサポートされた、Thunderbolt 3接続の外部GPU(eGPU)を利用することで、MacBook Pro本体のパフォーマンスは控えめにしつつ、動画編集などに必要なグラフィックスパワーを外部化する作戦を採りたいと思います。
具体的には、MacBook Proは13インチの吊るしモデルを選び、自宅ではそこに適当なeGPUを接続して使おうということです。
MacBook Proと組み合わせるeGPUの候補
eGPUの候補としては、先ごろAppleストア限定で発売された「Blackmagic eGPU」(AMD Radeon RX580 8GB 搭載)、各所での検証によりmacOSでの動作が報告されている「GIGABYTE RX 580 Gaming Box」(AMD Radeon RX 580 8GB 搭載)、単体のeGPUボックス「Sonnet eGFX Breakaway Box」に適当なグラフィクスカードを取り付ける(AMD Radeon RX 570 ~ Vega 64 あたり)、という三つを考えています。
Blackmagicの特徴は、公式にMacでの動作を謳っている安心感、静音性、2ポートのThunderbolt 3端子によってデイジーチェーンが可能、といったところです。反面、GPUの変更はできず、ディスプレイ出力がHDMIしかなく、価格はやや高めという弱点もあります。
リンク:Blackmagic eGPU(Blackmagic)
GIGABYTEのGaming Boxは、公式にMacでの動作を謳ってはいませんが、ウェブ上でたくさんの動作報告を確認できます。DisplayPort(3ポート)とHDMI(1ポート)を備え、USB Type-Aポート(4ポート)もあるので、接続性に不満はありません。GPUの変更はできず、価格はBlackmagicほどではありませんが、やや高めです。
最後のSonnetのボックスに好みのグラフィクスカードを搭載する方法は、ボックス自体はMacでの動作を謳っていて、メーカー推奨のグラフィクスカードのリストも提供されているので、動作に不安はありません。PCI Express接続で物理的なサイズが大きすぎないカードなら、かなり幅広い銘柄を利用できるので、予算や必要な性能に合わせてカードを選ぶことができますし、将来のアップグレードの可能性も残されています。ディスプレイ出力ポートの種類と数は選んだカードに依存します。USB出力はありません。ボックス単体の価格がそれほど高くないのも好都合です。
Sonnetの場合、ボックスの電源容量として350W、550W、650Wの3タイプから選ぶことになります。
MacBook Proに十分な給電を行うためには550W以上のタイプが適しており、さらに、Vega 56やVega 64といったハイエンドのグラフィクスカードを利用する場合は650Wの容量が必要とのこと。
将来のアップグレードパスを確保したいなら650Wモデル、AMDのGPUの処理効率アップに賭けるなら少し安く買える550Wモデルということになろうかと思います。
また、現状Macで手間なく動くのはAMDのPolarisアーキテクチャ、または、VegaアーキテクチャのGPUということになっていますが、将来的により処理効率の高いNVIDIAのGPUを利用できるようになれば、550Wでも現在のハイエンドレベルの処理能力を得られるかもしれないので、そこに賭けるという考えもありかもしれません。
Sonnetの550WボックスにRadeon RX580 8GBのカードを組み合わせた場合、BlackmagicやGIGABYTEのものよりは安く済むので、前述のアップグレードの可能性とも合わせて、Sonnetが良いかなあという感じです。
なお、単体のGPUボックスにはほかにもいくつか実績あるものがあって、そういうものを選ぶという手もあります。
現時点でFinal Cut Pro Xの書き出し時にeGPUは利用されないという話
さて、上記のような構成でMacBook ProとeGPUを調達することで、外に持ち出してオフィスワークを行うときの物理的な軽快さと、自宅でよりヘビーな処理を行うときの処理能力を両立できるんじゃないかと目論んだわけですが、現時点ではひとつ致命的な問題があります。
それは、上にリンクしたSonnet eGFX Breakaway Boxのレビュー動画でも言及されているとおり、Final Cut Pro X(FCPX)のバージョン10.4.1では、動画の書き出し時にeGPUが利用されないということです。(編集中のプレビューなどには効果があるようです)
この現象は10.4.2でも同様とのことで、現行の10.4.3については確かな情報が見当たりませんが、変更履歴にそのようなことは書かれていませんし、「直った」と言っている人もいません。
個人的に、FCPXで効果を発揮しなければMac+eGPUの魅力は半減といってもいいほどなので、これは困った問題です。
編集アプリを最近ノシてきているBlackmagicのDaVinci Resolveに乗り換えれば書き出し時にもeGPUが利用されるのはわかっているのですが、そんなことするくらいなら、より安価に高性能な環境を構築できるWindowsデスクトップを使う方がリーズナブルなので、どうにも本末転倒です。
eGPUが思ったほどには役立たないとすると、FCPXでの動画編集はMacBook Proの15インチモデルで行い、持ち歩き用には12インチMacBookの中古を買うという手もあるなぁなどと考えています。
というわけで、MacBook Proは結局どれを買えばいいのかよくわからないという話になりました。