【Apple Silicon】Apple M1チップの性能はどれくらいかを発表内容から予想したらすごかった話

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Apple M1 chip - 1 Apple
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M1チップ搭載のMacが発表され、すでに予約受付も始まっています。

しかし、Appleが「これだけ速くなりました」とする説明のしかたが、いつものとおりあいまいでよくわかりません。

わかる範囲で検証してみた話。


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M1チップ搭載MacBook AirとMacBook Proの性能はこう説明されている

Appleのウェブサイトで説明されている、M1チップ搭載MacBook AirとMacBook Proの「速さ」をまとめてみました。

MacBook Airの場合

まずCPUについて。

  • Final Cut Proは一世代前のMBAの3.9倍(ProResトランスコード)
  • Xcodeは一世代前のMBAの3.6倍(ビルド)
  • Logic Proは一世代前のMBAの2.5倍(Amp Designerプラグイン)
  • Lightroomは一世代前のMBAの2.3倍(イメージ書き出し)

つづいてGPUについて

  • Final Cut Proは一世代前のMBAの5.3倍(3Dレンダリング)
  • Shadow of the Tomb Raiderは一世代前のMBAの3.1倍(ゲームパフォーマンス)
  • Affinity Photoは一世代前のMBAの2.7倍(GPUラスターパフォーマンス)
  • Shapr3Dは一世代前のMBAの2.2倍(リアルタイム3Dパフォーマンス)

リンク:MacBook Air(Apple)

MacBook Proの場合

同じくCPUについて。

  • Xcodeは一世代前のMBPの2.8倍(ビルド)
  • Final Cut Proは一世代前のMBPの2.8倍(ProResトランスコード)
  • Affinity Photoは一世代前のMBPの2倍(マルチコアベクトルパフォーマンス)
  • Logic Proは一世代前のMBPの1.8倍(AMP Designerプラグイン)

つづいてGPUについて。

  • Final Cut Proは一世代前のMBPの5.9倍(3Dレンダリング)
  • Unity Editorは一世代前のMBPの3.5倍(デモフライスルー)
  • Shaper3Dは一世代前のMBPの3倍(リアルタイム3Dパフォーマンス)
  • Shadow of the Tomb Raiderは一世代前のMBPの2.9倍(ゲームパフォーマンス)

リンク:13インチMacBook Pro(Apple)

「一世代前のMBA/MBP」とは何か?

比較に用いられた「一世代前のMacBook Air」と「一世代前のMacBook Pro」について、それぞれ次のように書かれています。

(MacBook Air)
「1.2GHzクアッドコアIntel Core i7搭載MacBook Air量産モデル」
「16GBのRAMと2TBのSSDを実装」
リンク:MacBook Air(Apple)

(MacBook Pro)
「1.7GHzクアッドコアIntel Core i7搭載13インチMacBook Pro量産モデル」
「16GBのRAMと2TのSSDを実装」
リンク:13インチMacBook Pro(Apple)

これらの情報から、比較対象となったモデルは次の機種だと推測できます。

  • MacBook Air Early 2020
    CPU: Intel Core i7-1060NG7(4コア/8スレッド、1.2GHz)
    GPU: Intel Iris Plus Graphics

  • MacBook Pro 13インチ Mid 2019
    CPU: Intel Core i7-8557U(4コア/8スレッド、1.7GHz)
    GPU: Intel Iris Plus Graphics 645


新MacBook Air / MacBook Proと比較されたモデルの性能

比較対象となったモデルのベンチマークスコアはすでに明らかになっているので、それを基準に冒頭の「一世代前の○○の××倍」を読めば、新MacBookのおおまかなパフォーマンスを想像できそうです。

まず、MacBook Airの比較対象となった、Early 2020 Core i7 1.2GHzモデルのGeekbenchスコアは次のようになっています。

(MacBook Air Early 2020 / Core i7 1.2GHzモデル)
・シングル:1141
・マルチ:3083
・Metal:8498

つづいて、MacBook Proの比較対象になった、Mid 2019 Core i7 1.7GHzモデルのGeekbenchスコアは次のとおりです。

(MacBook Pro 13 Mid 2019 / Core i7 1.7GHzモデル)
・シングル:1029
・マルチ:3823
・Metal:5477

シングルコアの1000~1100のスコアはMacの中ではデスクトップを含めてもかなり上位の値です。
シングルコアで最も高スコアとされているiMac 27インチモデルの値が1252ということからもわかります。
リンク:Mac Benchmarks(Geekbench)

マルチコアで3000~3800というスコアは、最近の4コアCPUを搭載したラップトップとしては標準的な値です。

そして、Metalの8000台のスコアはCPU内蔵グラフィックスとしては最高峰ですが、dGPUでそのくらいの値というとGTX 970MやGTX 660Tiあたりなので、それほど速いとは言えません。
5000台となるとGTX 750やGTX 650Ti相当で、5年前のデスクトップ用GPUという感じです。
リンク:Metal Benchmarks(Geekbench)

参考にMacBook Pro 16インチ Late 2019 / Core i9 2.4GHzモデルのスコアも載せておきます。

(MacBook Pro 16 Late 2019 / Core i9 2.4GHz / Radeon Pro 5500M)
・シングル:1096
・マルチ:6870
・Metal:28744

シングルは上の2モデルと同等、マルチは2倍、Metalは3~5倍、といったところですね。


結局、新MacBook AirとMacBook Proはどれくらい速いのか?

では、新しいMacBook AirとMacBook Proのパフォーマンスはどの程度なのでしょうか?

MacBook Airの場合

Appleの比較データは、比較対象モデルに対して、CPUに関するタスクが2.3~3.9倍、GPUに関するタスクが2.2~5.3倍速くなると主張しています。

仮にすべてのCPUタスクでこの程度の改善が見られるとして、それを(かなり強引ですが)ベンチマークスコアに掛け合わせると、マルチコアのスコアは7000以上に相当すると言うことができます。

同様にMetalスコアは18000以上に相当することになります。

MacBook Air Early 2020 新MacBook Air
マルチ 3083 3083 x 2.3~3.9 = 7091~12024???
Metal 8498 8498 x 2.2~5.3 = 18696~45039???

MacBook Proの場合

Appleの比較データは、比較対象モデルに対して、CPUに関するタスクが1.8~2.8倍、GPUに関するタスクが2.9~5.9倍速くなると主張しています。

仮にすべてのCPUタスクでこの程度の改善が見られるとして、それをベンチマークスコアに掛け合わせると、マルチコアのスコアは6000以上に相当することになります。

同様にMetalスコアは15000以上に相当することになります。

MacBook Pro Mid 2019 新MacBook Pro
マルチ 3823 3823 x 1.8~2.8 = 6881~10704???
Metal 5477 8498 x 2.9~5.9 = 15883~32314???

繰り返しますが、かなり強引な話をしています。


新MacBook Airと新MacBook Proってかなり速いのでは?

以上、Appleの発表データと、比較対象となったモデルのGeekbenchスコアから、新MacBook Airと新MacBook Proの性能を想像してみました。

Appleだってなるべく良い数字を見せたいはずなので、そういう観点からも吟味された条件での値だとは思いますが、それを踏まえても新MacBook Airと新MacBook Proは13インチラップトップとしては相当速い部類に入るのではないかと予想できます。

ただし、テストに用いられたアプリの大半は「リリース前の」バージョンとされていることから、それらはApple Siliconのネイティブコードに対応したものだと思われるので、既存のx86アプリがどれくらいの速さで動くのかは未知数です。(Shadow of the Tomb Raiderだけは既存のものを使っているようなので、極端に遅いことはなさそうですが)

AppleはOSだけでなく自社製のMacソフトウェアをすべてM1ネイティブコードを含んだユニバーサルアプリにすると発表しているので、その範囲で作業が完結するのなら、新MacBookの優れた性能を存分に享受できることでしょう。

特定の他社アプリが絶対に動かないとダメだし、パフォーマンスもちゃんと出ないとダメだというのでなければ、新MacBook Airと新MacBook Proはかなり使える相棒になるのではないかと思います。

M1チップを搭載したMacBook AirとMacBook Proは現在予約受付中。
構成によっては11月17日のリリース日に手に入りそうです。

リンク:MacBook Air(ビックカメラ)icon
リンク:MacBook Pro(ビックカメラ)icon


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