スマートフォンやタブレット端末向けに格安で通信サービスを提供する仮想移動体通信事業者(MVNO)がたくさん登場し、NTTドコモ、ソフトバンク、auといった大手のキャリアよりもお得だと話題になっています。
この記事では、AppleのiPhone 6を使うことを前提に、SIMフリー端末でMVNOのサービスを使うことと、大手キャリアを利用することを、料金とサービスの両面から比較します。
Android派の方はこちらの記事もごらんください。
https://kiritsume.com/buy-sim-free-xperia-z3-or-not/
また、実際にSIMフリー版を買ってみようという方はこちらの記事もどうぞ。
https://kiritsume.com/manage-to-buy-sim-free-iphone/
この記事の内容
- 月々の使用料が安いと評判のSIMフリー端末+MVNOについて、料金やサービスについて大手キャリアと比較します。
- どのような場合にSIMフリー端末とMVNOが適しているかを考えます。
SIMフリー端末とMVNO
SIMフリー端末とは
SIMロック (SIM lock) とは電話機側に施される、特定キャリアのSIMカード以外は利用できないように制限する機能である。
日本の大手キャリアが販売する端末は、原則としてすべてSIMロックが掛かった状態で販売されています。
このSIMロックが掛かっていない端末を「SIMフリー端末」と呼びます。SIMフリー端末では、通信方式やサポートする電波の周波数といった技術的な条件を満たしていれば、SIMカードを入れ替えることでどのキャリアででも使用できます。
MVNOとは
仮想移動体通信事業者(かそういどうたいつうしんじぎょうしゃ、Mobile Virtual Network Operator, MVNO)は、携帯電話やPHSなどの物理的な移動体回線網を自社では持たないで、実際に保有する他の事業者から借りて(再販を受けて)、自社ブランドで通信サービスを行う事業者のこと。
日本では、NTTドコモの回線を利用する業者と、auの回線を利用する業者があります。
大手のキャリアに比べて月々の利用料金が安く設定されていることから、スマートフォンやタブレット端末の通信費を安く抑えたい利用者の注目を集めています。
SIMフリー+MVNO と 大手キャリア を比較してみる
前提条件
今回は次の条件で比較します。
項目 | 内容 |
---|---|
機種 | iPhone 6 64GB。新品をお店で買います。 |
端末購入 | 一括払いで購入します。 |
契約形態 | MNPで転入します。 |
料金プラン | 音声通話付。2015年4月時点で通信上限5GB以上のプランとします。 |
使用期間 | 2年間。2年経過したら端末を売却します。 |
各キャリアの料金プランは次のとおりとします。
キャリア | プラン |
---|---|
IIJmio | みおふぉん ライトスタートプラン |
NTTドコモ | カケホーダイプラン データMパック |
ソフトバンク | ホワイトプラン(i) パケットし放題フラット for 4G LTE |
au | LTEプラン + LTEフラット |
MVNOは上記の条件ではどれも価格に大差ありませんので、代表としてIIJmioとしました。
また、MVNOで使うSIMフリー端末は、SIMフリー端末の通販サイトとしてポピュラーなEXPANSYSで購入するものとします。価格の試算結果は次のとおりとします。
金額 | |
---|---|
端末代金 | 102520円 |
送料 | 1600円 |
消費税 | 4920円 |
(合計) | 109040円 |
EXPANSYSへのリンクはこちら([海外SIMフリー] 人気のスマートフォン最新機種販売中!)。
早速計算してみる
次のようになりました。
IIJmio | NTTドコモ | ソフトバンク | au | |
---|---|---|---|---|
端末購入価格 | 109040円 | 73872円 | 83280円 | 85320円 |
MNP転出・転入費用 | 5400円 | 5400円 | 5400円 | 5400円 |
2年間の利用料 | 53280円 | 133488円 | 72240円 | 70200円 |
(合計) | 167720円 | 212760円 | 160920円 | 160920円 |
(初出時にNTTドコモの端末購入価格と利用料に誤りがあったため訂正しました。なお、この記事の結論には影響ありません。)
あれ?
カケホーダイプランのドコモが高いのは予想通りとして、その他の3社がどれも同じような金額になりました。
というか、むしろMVNOの方が高くついています。端末購入価格の高さを利用料の安さでカバーしきれなかったようです。
端末のリセールバリュー
一般に同じ機種ならばSIMフリー端末の方がリセールバリューが高いです。
2年後にこれらの端末を売却した場合にどれくらいの価格差があるのかを考えてみます。
iPhone 5 32GBモデルのヤフーオークションでの落札価格を見ると、おおよそ次のようになっています。
SIMフリー端末 | ソフトバンクのSIMロック端末 | |
---|---|---|
落札価格 | 約36000円 | 約20000円 |
これを加味すると、支払い総額でMVNOが若干(10000円程度)有利になります。
ただし、総務省が今後各キャリアに対して、販売後にユーザの求めに応じて端末をSIMフリー化することを求めるという話もあるようですので、2年後にはSIMフリー端末の中古価格の状況が変わっている可能性も考慮するべきでしょう。
SIMフリー端末のその他のメリット
海外旅行で現地のSIMカードを使える
SIMフリー端末は利用するキャリアを制限されないため、海外旅行先で現地キャリアのプリペイドSIMカードを購入して差し替えることで、現地の価格で通信・通話のサービスを利用することができます。
SIMカードの価格はある程度のパケット通信料込みで1000〜2000円程度で、数日程度の旅行なら特に不自由なく使えるものです。
日本のキャリアのSIMカードをそのまま使う場合、たとえばNTTドコモの海外パケ・ホーダイのようなプランを使うと1日に1980〜2980円の料金が掛かりますので、それと比べると現地のSIMカードを使えることのメリットがわかります。
MVNO間を移動できる
契約したMVNO業者のサービスの品質に不満がある場合や、他のMVNOがより有利なサービスを始めた場合に、同じ端末を使ったまま乗り換えることができます。
大手キャリアの場合は契約をやめると端末代金の補填(「月々サポート」「月月割」「毎月割」)が打ち切られるため、簡単には乗り換えできません。
その他に考慮すべきこと
上の試算で用いた大手キャリアの端末代金は、2015年3月時点の各キャリアのオンラインストアの価格です。
通常、端末が発売されてしばらく経つと、販売店独自の割引サービスやキャッシュバックサービスが行われることがあり、それらを利用すればより安く購入することができます。
SIMフリー+MVNOに適した使い方
上記のもろもろを考慮すると、SIMフリー+MVNOを選ぶかどうかはSIMフリーならではのメリットに価値を見出すかどうかによるといえるでしょう。
SIMフリーのメリット
- 海外旅行先で普段使っている端末で現地のSIMカードを使える。
- MVNO間の乗り換えをやりやすい。
大手キャリアの端末を割り引き販売等で安く手に入れられる場合には、普段はそれを使い、海外旅行用にはそれとは別に安いSIMフリー端末を調達するのが、現実的な選択になると思います。
まとめ
- SIMフリー端末+MVNOについて、料金やサービスについて大手キャリアと比較、検討しました。
- SIMフリー端末+MVNOは、海外旅行でいつもの端末を使いたい人には有効とわかりました。
- 現実的には、大手キャリアの端末を安く買い、海外では別の安価なSIMフリー端末を買って使うのがよさそうです。
- 実際にSIMフリー版を買ってみようという方はこちらの記事もどうぞ。