Surface 3の国内投入については「現在最適な形での投入を検討しており、改めてお知らせします」とされたまますでに1ヶ月半が経とうとしています。
自分が「改めて」と言って1ヶ月半も放置したら上司にぶっ飛ばされて二度と口聞いてもらえないだろうななどと思いながら今日もSurface 3の情報を集めております。
さて、以前の記事で「いっそのことSurface Pro 3の最廉価版でも良いんじゃないか」と書きましたので、Surface 3とSurface Pro 3の最廉価版の違いについて、気になるポイントに絞ってまとめてみました。
なお、「改めてお知らせします」のプレスリリースはこちらです。
http://news.microsoft.com/ja-jp/2015/04/01/150401_surface3_global/
Surface 3 と Surface Pro 3の違いで気になるところ
先日、下記の記事でTechradarのSurface 3レビュー記事を参照しながら、Surface Pro 3の一番安いのでも良いかもしれないと書きました。
先日の記事ではちゃんと比較しませんでしたので、個人的に気になるポイントの比較をしつつ考えたいと思います。
Surface 3 と Surface Pro 3は搭載OSが微妙に違う
Surface 3 と Surface Pro 3の搭載OSはどちらもWindows 8.1の64ビット版ですが、両者は微妙に違うものです。
Surface 3がWindows 8.1 64ビット版、Surface Pro 3はWindows 8.1 Pro 64ビット版です。
なお、Surface 3も有償でPro版にアップグレードできます。
さて、Pro版でできて通常版でできないことは次のとおりです。
- ActiveDirectoryドメインへの参加
- BitLockerによるデータ暗号化
- 最大メモリ容量(Proは512GB、通常版は128GB)
- 最大CPUソケット数(Proは2個、通常版は1個)
- リモートデスクトップのホスト化
- VHDブート
ビジネスユーザーにいちばん効きそうなのはドメインへの参加ができるかどうかでしょうか。会社のネットワークに接続するためにドメインへの参加が必須要件になっている場合はPro版が必要になります。
また、セキュリティ要件でBitLockerによるデータ暗号化が必須となっている場合にはやはりPro版が必要になります。
ホームユースだと、Surface 3を家庭内サーバー的に使いたいときにリモートデスクトップのホストになれると便利ですが、そのためにはPro版へのアップグレードが必要です。
その他の項目のうち、VHDブートは仮想ハードディスクからOSを起動できる仕組みで、マルチブート環境を作るときには便利ですが、まあ普通は必要なさそうです。
最大メモリ容量と最大CPUソケット数はSurfaceには関係ありません。
サイズ・重さが違う
MicrosoftのビデオCMなどを見ると、Surface Pro 3よりも小さく・薄く・軽くなったことはSurface 3の大きなセールスポイントのようです。
サイズ・重さを表にしてみました。
Surface 3 | Surface Pro 3 | (参考)初代iPad | |
---|---|---|---|
サイズ | 267×187×8.7mm | 292.1×201.4×9.1mm | 242.8×189.7×13.4mm |
重さ | 622g | 800g | 680g(Wi-Fiモデル) |
初代iPad、覚えていますか? 背中がカーブした、モノラルスピーカーのこいつです。
Surface 3はこれを少し縦に伸ばして薄くしたようなサイズ感です。
いま初代iPadを触ると(まだ持ってます)、大きさはともかく、重さが片手で持ってもう一方の手でペン入力するにはちょっと辛いレベルです。
また、電車で立った状態で初代iPadを使って電子書籍を読むのは重さ的にもサイズ的にも辛いので、Surface 3でもSurface Pro 3でも同じようなものだと思われます。
手に持って使うのではなく、鞄などに入れて持ち運ぶ場面なら、Surface 3とSurface Pro 3の差はあまり気にならないような気がします。
発熱とバッテリー持続時間の問題
Surface 3は低消費電力のAtomプロセッサをファンレスで動作させることで、発熱・騒音・バッテリー持続時間の面でSurface Pro 3よりも有利であると言われています。
じっさいSurface Pro 3の上位モデルでは発売当初から、高負荷状態を続けると発熱によるクロックダウンでパフォーマンスが悪化するという報告やレビューが数多くされていて、Surface Pro 3では発熱・騒音問題はそれなりに深刻に受け止められていたようですので、この点はSurface 3に有利な部分と言えるでしょう。
一方で、もともとパフォーマンス控えめな上にターボ・ブースト・テクノロジーにも対応していないCore i3を搭載した最廉価版Surface Pro 3では、熱関連の問題があまり報告されていないように見受けられます。
ジャーナリストのレビューはCore i5以上のモデルで行われているものばかりで話題になっていないだけという可能性はありますが、Core i3モデルは発熱・騒音問題を(たまたま、結果的にかもしれませんが)回避できているのかもしれません。
また、バッテリー持続時間については、スペック上は次のような条件の異なる値が書かれています。
Surface 3 | Surface Pro 3 |
---|---|
ビデオ再生最大10時間 | Wi-Fi接続によるWebブラウジング最大9時間 |
どちらもテスト内容の詳細は不明です。
AnandTechによる下記リンク先の記事では、Surface 3のバッテリー持続時間はSurface Pro 3のCore i3モデルと同等かより良いとされています。どちらの機種も一日持ち歩いて仕事や学校で使っても不足のない程度には持ちそうに見えます。
AnandTech「The Surface 3 Review」
http://www.anandtech.com/show/9219/the-surface-3-review/8
その一方で、Surface 3の充電時間はSurface Pro 3の約2倍、5時間半程度掛かるとされています。一晩コースです。
Surface 3はモバイルバッテリーから充電できそうなので出先でなんとかできるチャンスもあります。
こんな永久機関を試みた人もいます。
Geek.com「Microsoft’s Surface 3 tablet thinks it can charge itself」
http://www.geek.com/microsoft/microsofts-surface-3-tablet-thinks-it-can-charge-itself-1619763/
パフォーマンスの違い
Geekbench 3のスコアを見るとおおよそ次のようになっています。
Surface 3 | Surface Pro 3 | (参考)HP Stream 7 | |
---|---|---|---|
CPU | Atom X7 Z8700 | Core i3-4020Y | Atom Z3735G |
Single-Core Score | 900〜1020 | 1430〜1580 | 630〜720 |
Multi-Core Score | 2140〜3400 | 2720〜3290 | 1640〜2100 |
Geekbench 3 “surface 3 atom”
Geekbench 3 “surface 3 core-i3”
Geekbench 3 “hp stream 7”
Surface 3はHP Stream 7に対してシングルコア・マルチコアともに約1.4倍のパフォーマンス、Surface Pro 3(Core i3モデル)はSurface 3に対してシングルコアで約1.5倍、マルチコアで約1.3倍のパフォーマンスとなっています。
比較対象として加えたHP Stream 7は私が持っていてときどき外出先でも使うものですが、その操作感は「もっさり」という言葉をそのまま形にしたようなもので、キビキビした動作とは無縁です。デスクトップの操作やブラウザーの描画の遅さにイラッとするということがわりと頻繁に起こります。
さて、Surface 3の結果で気になるのはシングルコアのスコアがあまり伸びていないことです。
Surface 3がターゲットとするようなアプリケーションでマルチスレッドでうまく負荷分散を行うものがどの程度あるのかわかりませんが、通常の用途ではやはりシングルコアのパフォーマンスがそのマシンの体感的なパフォーマンスを支配するので、この結果だけを見ると実物を触らずに手を出すのは少しためらわれます。
カメラ・スピーカー問題
前出のAnandTechのレビューでは、Surface 3のカメラは暗所でもきれいに写る、でもスマホのカメラ使うけどな、と書かれています。たしかにそのとおりなのでカメラの性能はあまり気にしなくて良いでしょう。
AnandTech「The Surface 3 Review」
http://www.anandtech.com/show/9219/the-surface-3-review/9
スピーカーからの音は液晶ベゼルの脇にあるすごーく細いスリットを通って出てくるようで、音について特筆すべきことはないようです。
音の出口はここにあるようです。
この仕組みはSurface Pro 3も同じなので、音も似たようなものではないかと思います。
ちなみに、12インチMacBookのスピーカーはなぜか一部で高く評価されています。たとえばこの記事のように。
It is the richest and most satisfying MacBook speaker experience we have yet to hear.
http://www.electronista.com/reviews/apple-12-inch-retina-macbook.html
MacBook Pro RetinaのスピーカーはノートPCのスピーカーとしてはかなり良いなと思うのですが、あのうっすい12インチMacBookのものがそれよりも良いとは驚きです。
Surface Pro 4の噂
Surface Pro 4の発売時期やスペックに関する憶測は昨年の暮れあたりからポロポロと出ていて、CPUはCore Mだとか、ディスプレイは12インチと14インチの2種類だとか、発売時期は4月だとか5月だとかいろいろあったわけですが、結局今年のBuildカンファレンスではスルーされ、Igniteも終わろうとしており、確かな話は何もありません。
CPUがCore Mになるとするとパフォーマンスと消費電力のバランス的にちょうど良い落とし所になる可能性があり楽しみではありますが、今のところは絵に描いた餅ということで、Pro 4についてはひとまず棚上げにするほかなさそうです。
ただひとつ気になるのは、ここ2〜3週間、Surface Pro 3の販売価格がグッと上がっていること。
価格コム「Surface Pro 3 64GB 4YM-00015 の価格推移グラフ」
http://kakaku.com/item/K0000700535/pricehistory/
リンク先は最廉価版の価格推移ですが、他のモデルも多少の時期のずれはあるものの似たような動きをしています。
Apple製品ではモデル末期に流通在庫が減ってきて価格が上がることがありますが、このSurface Pro 3の動きはどうでしょう?もしかしてPro 4発売の前兆?気になります。
結局実物を見ないとなんとも
Surface 3の気になるところをSurface Pro 3の最廉価モデルとの比較で見てきましたが、やはり一番気になるパフォーマンスの部分は自分の目で見てみないとなんとも判断がつきません。
実物を見て、できれば自分のよく使うソフトをしばらく触ってみて判断したいと思います。