Microsoftは既存のモバイルOS向けアプリを簡単にWindows向けのUniversal Windows App(UWA)に移植するための開発環境を提供するプロジェクトのうち、Androidアプリ側のプロジェクト(Project Astoria)を中止すると発表しました。
iOS側のプロジェクト(Project Islandwood)は継続です。
「ひとつで十分ですよ。わかってくださいよ。」
Microsoftは既存のモバイルOS向けアプリの移植環境として、Androidアプリ用のものとiOSアプリ用のものの2本立てで準備してきたわけですが、開発者からの「2つあると混乱するからどちらか1つでいい」というフィードバックを受けて、iOSアプリ用のものに一本化することを決めたそうです。
Microsoft Windows blog 「An Update on the Developer Opportunity and Windows 10」
https://blogs.windows.com/buildingapps/2016/02/25/an-update-on-the-developer-opportunity-and-windows-10/
既存の多くのアプリはiOSとAndroidの両方向けに開発されているので、ポート用のツールはどちらか一方があれば十分です。
だから、今回明らかになった方針によって既存アプリのWindowsへの展開が遅くなることはなさそうです。(そもそもアプリ開発者に展開する気があればの話ですが)
iOS向けアプリのObjective-Cのソースコードを取り込んでわずかな改変でWindows向けにビルドできるような開発環境を提供するProject Islandwoodと、Androidアプリの開発環境用のプラグインによって「Windows上で動作するAndroidアプリ」的なものを作ろうとするProject Astoriaではアプローチのしかたが違うわけですが、アプリの開発者側からすれば前者の方がちゃんとしたものができそうな感触がありますし、良い判断だったんじゃないかと思います。
既存アプリの「ブリッジ」の進捗状況
既存の他OS向けアプリをWindows向けにブリッジするプロジェクトはいくつかあるのですが、上の記事ではそれらの進捗状況も報告されています。
- Webアプリ(HTMLとJava Scriptベースで作られたアプリ)をWindows Storeでリリースできるようにする「Web Bridge」は7月のWindows 10 SDKの一部として公開済みで、すでにShazamやYahooのアプリがリリースされている。
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Win32や.NETで開発されたデスクトップアプリをWindows Storeでリリースできるようにする「Centennial」は現在アプリ開発者によるテスト中で、まもなくツールを更新する予定。
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iOSアプリ向けブリッジのプロジェクト「Islandwood」は8月にGitHubにリリース済みで、頻繁にアップデートを行っている。さらに、先週ARM32プロセッサー向けのコンパイラーのプレビュー版もリリースした。
既存アプリをUWAに移植する技術は、Windows 10 Mobileのアプリ不足問題を解消する切り札になるかもしれないので、今後もどんどん改善を進めて、アプリ開発者が「大して手間も掛からないしWindows用にもリリースしとこうかな」と思うレベルまで機能と性能を高めてもらいたいと思います。
少し前にはiOS向けのゲームをたった5分でWindows向けに移植したという動画が話題になっていましたね。
込み入ったアプリではこんなに簡単にはいかないそうですが、Windows向けにスクラッチで開発するよりはずっと楽になっているのは間違いなさそうです。