SMBC日興証券が2015年4月からダイレクトコースの現物株式の取引手数料を大幅に引き下げることを発表しました。
この記事では、引き下げ後の手数料を既存のネット証券の手数料と比較し、SMBC日興証券に口座を持つメリットの有無を検討します。
この記事の内容
- SMBC日興証券とネット証券の手数料を比較します。
- 証券会社選びにおける、手数料以外の注意点を考えます。
SMBC日興証券が手数料を引き下げ
手数料引き下げの内容
- 2015年4月1日約定分から適用
- 対象はダイレクトコースのみ
- 引き下げ率は最大83%
約定代金ごとの引き下げの内容は次のとおり。
引用元:SMBC日興証券「【ダイレクトコース】現物株式の委託手数料を大幅引き下げします!」
主なネット証券会社との比較
それでは、引下げ後の手数料を主なネット証券のものと比較してみます。
SBI証券の手数料
SBI証券の現物株式の取引手数料は次の図のとおりです。
ここでは一般的なスタンダードプランの手数料を挙げています。
引用元:SBI証券「手数料」
マネックス証券の手数料
マネックス証券の現物株式の取引手数料は次のとおりです。
ここでは一般的な取引毎手数料コースの手数料を挙げています。(税抜き表示です)
引用元:マネックス証券「手数料・費用」
3社の手数料を比較してみます
上に挙げた表は条件が揃っていませんので、同じ条件に揃えて手数料を比較しました。
約定金額 | SMBC日興 | SBI | マネックス(成行/指値) |
---|---|---|---|
10万円 | 135円(0.135%) | 150円(0.15%) | 108円(0.108%) |
20万円 | 194円(0.097%) | 199円(0.100%) | 194円(0.097%) |
30万円 | 270円(0.090%) | 293円(0.098%) | 270円(0.090%) |
40万円 | 432円(0.108%) | 293円(0.073%) | 378円(0.095%) |
50万円 | 432円(0.086%) | 293円(0.059%) | 486円(0.097%) |
100万円 | 864円(0.086%) | 525円(0.053%) | 1000円(0.1%)/1500円(0.015%) |
200万円 | 1620円(0.081%) | 994円(0.050%) | 2160円(0.108%)/3240円(0.162%) |
300万円 | 2160円(0.072%) | 994円(0.033%) | 3240円(0.108%)/4860円(0.162%) |
400万円 | 3240円(0.081%) | 994円(0.025%) | 4320円(0.108%)/6480円(0.162%) |
500万円 | 3240円(0.065%) | 994円(0.020%) | 5400円(0.108%)/8100円(0.162%) |
1000万円 | 4860円(0.049%) | 994円(0.010%) | 10800円(0.108%)/16200円(0.162%) |
2000万円 | 9720円(0.049%) | 994円(0.005%) | 21600円(0.108%)/32400円(0.162%) |
3000万円 | 16200円(0.054%) | 994円(0.003%) | 32400円(0.108%)/48600円(0.162%) |
5000万円 | 27000円(0.054%) | 1050円(0.002%) | 54000円(0.108%)/81000円(0.162%) |
1億円 | 27000円(0.027%) | 1050円(0.001%) | 108000円(0.108%)/162000円(0.162%) |
※ カッコ内は約定金額に対する手数料の割合。
※ パソコンからの取り引き。手数料は税込み価格。
比較結果からわかること
比較結果から次のことがわかります。
- 約定金額10万円まではマネックス証券がお得
- 約定金額10万円超30万円までは3社大差なし
- 約定金額30万円を超えるとSBI証券がお得
- 約定金額30万円を超えてからは金額が大きくなるほどSBI証券のお得度が大きくなる
- 大きな金額の取引をする場合、マネックス証券の手数料は青天井で増えていく
SMBC日興証券はベストではありませんがまずまず勝負になっています。
非ネット系証券としてこの手数料を打ち出してきたのは画期的なことだと思います。
以上から、手数料の観点では次のように証券会社を選べば良いでしょう。
- 10万円以下の取引を中心に行う場合はマネックス証券
- 10万円超30万円以下の取引のみを行う場合は3社どれでもいい
- 30万円以下の取引を中心に行うが、大きな金額を取引をする可能性もあるならSBI証券かSMBC日興証券
- 30万円を超える取引が多い場合はSBI証券
手数料以外に考慮すること
取引金額により有利な証券会社が異なることがわかりました。
複数の証券会社に口座を持って、取引金額ごとに証券会社を使い分けるということももちろん可能ですが、複数の証券会社を使い分けていると、資金を移動させる手間と費用が掛かってしまう恐れがあります。
このため、できることなら口座は一つにまとめておきたいところです。
口座をまとめるにあたり、手数料以外で考慮するべきことを検討します。
取り扱い商品の違い
商品によっては特定の証券会社でしか扱っていないものもあります。
たとえば3社の投資信託の取り扱い数を比較してみると次のように差があります。
証券会社 | 取扱い投資信託数(うち日興系投信) |
---|---|
SMBC日興 | 869本(235本) |
SBI | 1917本(232本) |
マネックス | 1429本(95本) |
SBI証券が強いです。SMBC日興証券はもう少し多いと予想していたのですが、意外でした。
投資信託以外では、債券で証券会社ごとの取り扱い商品の差が出やすいです。
2015年3月時点では、低金利の煽りを受けてほとんど見るべき商品がありませんが、将来債券市場が盛り上がった場合にはこの観点でも検討する必要があるでしょう。
ともあれ、手数料だけでなく取り扱い商品の観点から使い勝手の良い証券会社を選ぶことも重要です。
SMBC日興に口座を作るべきか
30万円以下の取引を中心に行うが、大きな金額を取引をする可能性もあるなら、SMBC日興に口座を持つメリットは無くはないと言えるでしょう。
株式だけでなく、SMBC日興でだけ取り扱っている商品にも興味を持たれている方にとっては、今回の株式売買手数料の引き下げは朗報です。
他社の追随に期待
今回SMBC日興が手数料を引き下げたことに、他の非ネット系大手証券会社が追随することが期待されます。
これまで小口の個人投資家からはそっぽを向かれていた大手証券ですが、ネット証券並みの手数料で利用できるようになれば、大手ならではの品揃えの良さと相まって、使い勝手が格段によくなります。
大手証券会社の手数料引き下げの流れが大きく広がることを期待したいです。
まとめ
- SMBC日興証券の引下げ後の手数料を既存のネット証券のものと比較しました。
- SMBC日興証券の手数料は、取引金額の規模によってはネット証券と同レベルであることがわかりました。
- 証券会社選びは手数料だけでなく取り扱っている商品の観点でも検討しましょう。