10月13日のAppleのイベントで発表されたのはiPhone 12シリーズだけではありません。
スマートスピーカーHomePodの小型版「HomePod mini」がたったの1万800円で登場するそうです。
でも、まだ買わない理由。
HomePod miniの概要
HomePod miniはAppleのパーソナルアシスタント「Siri」を搭載したスマートスピーカーです。
2018年に発売されたHomePodはウーファー1個、ツイーター7個、マイク6個を搭載して音質に定評がありましたが、本機はフルレンジのドライバーが1個、マイクは4個に減量されているようです。
音楽を再生しながらリアルタイムに環境に適応してドライバーとラジエターの動作を制御することで音質を向上させる仕組みを持っています。
価格は初代HomePodの約3分の1の1万800円(税別)。11月6日(金)から注文の受付を始め、11月16日(月)に発売されます。
Amazon Echoシリーズの最新モデル(Flexを除く)が5,980円(税込)から。Google Nestシリーズも6,050円からという状況で、これまでAppleのスマートスピーカーは3万2,800円(税別)のHomePodしか選べなかったところ、ついに手を出しやすい1万円少々の選択肢ができたのは良いことです。
なお、HomePod、HomePod miniとも利用にはiOS機器またはiPadOS機器が必要です。
サードパーティの音楽配信サービス対応に課題
ついに買いやすくなったHomePodシリーズですが、Appleデバイス特有の課題もあります。
それはサードパーティの音楽配信サービスへの対応がいまいちなことです。
発表会ではHomePod miniでApple Music(とApple Music 1などAppleが提供するラジオ)、Podcast、iHeartRadio、radio.com、TuneInを聞くことができることと、今後数か月のうちにPandoraやAmazon Musicにも対応する予定であることが発表されました。
しかし、世界でも日本でも最大のユーザー数を誇るSpotifyへの対応には全く触れられていません。
Spotifyには他社の音響機器から直接Spotifyにアクセスして利用するためのSpotify Connectという仕組みがあり、有料会員ならスマホからでも、PC/Macからでも、(ほとんどの)スマートスピーカーからでもシームレスにSpotifyの配信する音楽やポッドキャストを聞くことができるようになっています。
たとえば、スマートスピーカーでSpotifyの音源を再生しているときに、スマホやPC/MacのSpotifyアプリから曲送りや音量の調整ができるので、ただ再生だけできるのとは別次元の便利さがあるのです。
これを一度体験するとほかのサービスに乗り換えようという気持ちがなくなるほど便利。
私はYouTube PremiumユーザーなのでYouTube Musicを利用できますし、つい先日にはApple Musicの無料お試しを久しぶりにアクティベートしましたが、どちらも最初に数分触ったきり使わなくなりました。複数機器で利用するときの操作性がSpotifyのそれに全く追いついていないからです。
というわけで、HomePod(mini)を買うかどうかはSpotify Connectに対応するかどうかが最も重要な基準ですが、それが難しそうな事情があります。
リンク:Spotifyの主張に対して(Apple)
リンク:スポティファイ、アップルのバンドル型サービスは反競争的と批判(ロイター)
最初のリンクは2019年にSpotifyが「App Storeの利用料金が高すぎる」と言ったことに対するAppleの反応。2つ目はAppleが今年9月に自社のサブスクリプションサービスのセット割「Apple One」を発表したあとのSpotifyの反応に関する記事です。
仲、あんまり良くないんですね。
Spotifyのサービスは音楽配信のみ。で、そのサービスに関する両社の利害が真っ向から対立しているので、そう簡単に仲直りできるわけではなさそうです。
というわけで、HomePod(mini)はSpotify Connectに対応しないと買いたくないけど、当面は期待できないだろうという話でした。
新しいEchoを買うのがいいと思います。