Windows 7とWindows 8.1からWindows 10への無償アップグレードの期限があと2か月ほどに迫っています。
当ブログのWindows 10のインストールに関する記事にも連日たくさんのアクセスをいただいています。ありがたい。
我が家ではすでに5台のPC(MacのBootcampとVMWare Fusionで動いていた各1つを含む)をWindows 7またはWindows 8.1からアップグレード済みで、どれも特に問題なく動いています。
最後に残った低スペックPCをどうするかを考えます。
低スペックのPCをWindows 10にアップグレードするべきか?
今回対象となるPCはLenovoのThinkPad X121eというモデルです。
2011年に発売されたもので、現在のスペックは次のとおり。
項目 | 内容 |
---|---|
CPU | AMD Fusion E-450 1.65GHz |
VGA | AMD Radeon HD 6320グラフィックス |
RAM | 8GB(標準の2GBから増設) |
ストレージ | 128GB SSD(標準の320GB HDDから交換) |
CPUを見てわかるとおり、非常に低スペック。
OSはWindows 7 Professionalの64ビット版をインストールし、外付けHDDを2台接続してファイルサーバーとして使っています。
特別なアプリを動かすわけでもなく、変わった周辺機器を使うわけでもなく、とくに高速に動作してほしいわけでもなく、引き続きファイルサーバーとしてしっかり動いてくれれば、それで文句はありません。
欲を言えば、Windows 10のバックアップ機能が便利そうなので、アップグレードでそれが使えるようになるとうれしいです。
Windows 7/8.1からWindows 10へアップグレードするときの心配事
新しいOSにアップグレードするときに真っ先に気になるのは互換性、その次がパフォーマンスです。
それぞれについて考えてみます。
互換性について
互換性については、使いたいアプリや周辺機器が新しいOSで使えないと困るので事前に慎重に調べるべきです。
タスクトレイのWindows 10アイコンをクリックすると。
そのPCとWindows 10の互換性についての情報が表示されます。
「レポートの表示」をクリックするともう少し詳しい情報が表示されます。
ちょっとざっくりしすぎていますが、一つの指標にはなります。
より細かいことを知りたければ、PCメーカーのサポートページや、アプリ・周辺機器のメーカーのウェブサイトで情報を集めることができます。
どのメーカーも「アップグレードしたら動かなくなったぞ!」というクレームが殺到することをとても警戒しているはずなので、現時点で知りうる情報はちゃんと公開されています。
私の場合は、とくに使いたいアプリもなく、USB HDD以外の周辺機器も不要なので、大丈夫だと判断します。
Windows 10のパフォーマンスについて
次にパフォーマンスについてですが、すでにちゃんと調べられた方がいますので、そちらの情報を参考にさせてもらいましょう。
TechSpotの昨年8月の記事です。
TechSpot 「Windows 10 vs. Windows 8.1 vs. Windows 7 Performance」
http://www.techspot.com/review/1042-windows-10-vs-windows-8-vs-windows-7/
Windows 10、Windows 8.1、Windows 7の各OSで同じハードウェアを使って同じテストを行った結果を細かく掲載されています。
とても細かいのでざっくりまとめると次のようになります。
- Windows 10は他の2OSよりもコールドスタートが遅い
- Windows 10は他の2OSよりもスリープ状態からの復帰が速い
- Windows 10は他の2OSよりも休止状態からの復帰が速い
- ベンチマークは速いものと遅いものが混在するが大差なし
- アプリケーションの動作は速いものと遅いものが混在するが大差なし
- ただし、ブラウザーだけはWindows 10のEdgeが圧倒的に速い
- ストレージのスピードはほとんど違いなし
- 動画のエンコードのスピードはほとんど違いなし
- ゲームのパフォーマンスはほとんど違いなし
コールドスタートが若干遅くなることを除いて、Windows 10がはっきりと不利になるケースはなかったようです。
代わりにスリープ状態や休止状態からの復帰が速くなっていることを考えれば、通常の使い方でWindows 10にアップグレードして「遅くなった」と感じることはなさそうです。
その他のメリット・デメリット
互換性やパフォーマンス以外のメリット・デメリットを考えます。
アップグレードするメリット
アップグレードする最も大きなメリットは、OS自体のサポート期限が延びることです。
次の表はWindow各バージョンのサポートライフサイクルです。
http://windows.microsoft.com/ja-jp/windows/lifecycle
Windows 7はすでにメインストリームサポート期間が終わっており、延長サポートも2020年の1月で終わります。
Windows 8/8.1も2018年1月にメインストリームサポートが、2023年1月に延長サポートが終わります。
延長サポートが終わるとセキュリティ・パッチすら配布されなくなるので、実質的にそのOSは使えなくなります。
表ではWindows 10のサポート期間は2025年10月までとされていますが、これは昨年7月にリリースされた初期バージョンのサポート期間を表していて、昨年11月にリリースされたNovember Updateや、今年の夏リリースされるというAnniversary Updateなどの無償のアップデートを適用する限り、サポート期限は延びていくのだと思われます。
サポート期限が延びる以外のメリットとしては、今後登場する新しい周辺機器やアプリやサービスで「サポート対象外」とされるリスクが小さいことです。
周辺機器やソフトウェアのメーカーとしてはサポートするOSの種類が少ないに越したことはありません。
リリース前の検証にしろ、リリース後の保守にしろ、コールセンターの業務にしろ、OSの種類が少なければそれだけコストを下げられるからです。
なので、これらのメーカーにはなんとか理由を付けて古いOSのサポートをやめたいというインセンティブが働きます。
現在、Microsoftが半ば強引にWindows 10への移行を進めている状況を考えると、今年7月以降のWindows 10の普及率がそれなりに高まる(=古いOSのシェアが下がる)可能性があり、そうなると各メーカーが古いOSのサポートをやめる可能性が高まります。
各メーカーともOS自体のメインストリームサポート期間まではサポートを続けるでしょうが、それ以降はシェアの下がったOSのサポートは打ち切ってくる可能性があります。
Windows 10にアップグレードしておけばそうしたリスクを回避できます。
アップグレードのデメリット
既存のOSをアップグレードすると、アップグレード時にそのOSがインストールされていたPCと、アップグレード後のWindows 10のライセンスとが関連付けられるようです。
以後、そのPCにはWindows 10を何度でもインストールできるようになる代わりに、同じライセンスは他のPCでは使えなくなるということです。
メーカー製のPCを買った場合は、そもそもWindowsのライセンスはそのPCと紐づけられているので、その状況が変わるわけではありません。デメリットなし。
一方、Windows 7や8.1をパッケージで買ってPCにインストールしていた場合、アップグレードによってOSのライセンスが特定のPCに紐づけられるのだとすると、以後別のPCにWindows 7や8.1をインストールし直しても、それをWindows 10にアップグレードできないことになります。
このあたり、はっきり書かれたドキュメントを見つけられないのですが、自作PCなどでパーツを取っかえ引っかえして楽しんでいる場合は、問題になるかもしれません。
普通の使い方ならたぶん問題ないです
低スペックのPCをWindows 10にアップグレードすることについて考えました。
パフォーマンス面ではWindows 7や8.1から悪化する心配はなさそうです。
ソフトや周辺機器の互換性の問題については、それぞれの環境に応じて多少の調査は必要です。
私はこれまで何台かアップグレードした経験からそれほど心配する必要はないと感じていますが、「これだけは絶対動かないと困る」というものについては各自で慎重に調べられるのが良いでしょう。
ライセンス面の懸念についてはPCとの付き合い方のスタイルによって問題になる方もいると思います。
でも、これまでも新しいOSが必要になったときには買っていたわけですし、それと何も変わらないと考えれば気は楽かも。
以上、皆様の判断の参考にしていただければ幸いです。